調査会社とのやり取りは、LINEのメッセージが中心だったが、カウンセリングもしていただいていたので、電話をすることも多かった。
ただ、夫がいる家で調査会社と電話するわけにはいかない。
私の場合、夜中までやっているスーパーがあったことと、家に乾燥機がないのでコインランドリーに行くことを理由に、子どもを寝かしつけた後に外に出て電話をすることができた。
調査をした日、夫は21時頃帰ってきた。夫が帰ってきてから、私はコインランドリーに行くことにして、夜外へ出た。
実際に乾燥機に洗濯物を入れ、コインを入れる。駐車場で乾燥を待つ間、カウンセラーさんと電話できるように調節した。
この行動も、慣れたものだ。
LINEの電話ボタンを押す。コール音が数回鳴った後、カウンセラーさんが出た。
「レイさん、すみません。本日はご主人を追うことはできませんでした。調査失敗です。」
理解するのに少し時間がかかった。
「ーーーどういう事ですか?」
「ご主人が車で駅に向かい。駐車場に停めたところまでは追跡できたのですが、いつも乗車されると教えていただいた駅にご主人は現れませんでした。つまり、今日はこの駅を利用しなかったという事です。」
「もしかしたら、不倫相手が迎えに来たかも知れません。いろんな可能性が考えられます。」
「ただ、帰りはこの駅を利用して帰ってきています。これは探偵業の沽券に関わることです。再調査をお願いしたいのですが。」
大手であれば、失敗はないだろうと思っていた私は、何とも言えない気持ちになっていた。
「レイさん、しんどいと思います。本日は申し訳ございませんでした。また、再調査の日程を調整させていただきます。こちらの落ち度です。もう少し頑張らせてはもらえませんか?」
カウンセラーさんの話を聞いて、どういった返事をしたのか、詳細には覚えていないが再調査をお願いした。
本来であれば再調査になると、再び料金が発生するのだが、調査会社側の落ち度ということで、料金は発生せず、そのまま別日で調査することになった。
ただ、とても気分が落ち込んでいたことはよく覚えている。
ーーー不倫相手とは、夫を迎えに来るほど親密な関係になっている? あぁ、5年も前からだもんなぁ…。私の生活圏内にも来ていたというのか…。気持ち悪い…。
様々な考えがめぐる中、カウンセラーさんとの話が終わった。乾燥も終わっていたので、洗濯物を取り出して帰路についた。
家についたら日付が変わる寸前だった。夫はリビングでゲームをしている。
明日は早い出勤だと聞いていたので、お弁当を作るために、私も早く寝なくては。
お風呂に入り、寝る準備をする。夫はまだゲームをしていた。心なしか上機嫌なようにも見える。
「おやすみ。」
夫に声をかけた。夫からは「おー。」との返事。
布団にもぐった後、子どもの寝息を横で聞きながら、ぼんやり考えていた。
今日は不倫相手と楽しく過ごしたんだろうな。確証は無いけど…。
ーーーまだ夫を調べる日が続くのか…。
再調査の日程は決まっていない。言い表しようもない重くのしかかる”何か”を感じながら眠りについた。
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